土庇柱の柱受改修

 

 皆様こんにちは、今回は和風戸建住宅屋外の簡易的な修繕工事の御紹介です。『土庇(どびさし・つちびさし)』と呼ばれる日本建築の部位に関わる工事となります。あまり耳慣れない用語かと存じますが、これは土間に建てられた柱で支えられた庇のことを指すもので、今回の御宅はそれが玄関前に設けられています。つまり洋風に言い換えますと、所謂『玄関テラス』と呼ばれるものです。

 さて、此方の土庇の柱(土庇柱)は、2,300㎜強の磨き丸太が贅沢に奢られ、それをスチール製柱脚で支えて固定するといった風情ある立派な装いが企図された設計が成され、その様に仕立てられた様です。そして当邸宅の誇らしい”顔”としてエントランスを飾り、此れまで幾多の訪問客の皆様をお出迎えして立派に其の役目を果たして来た事なのでしょう。ところが如何せん、屋外建造物として長年に亘って紫外線や風雪・風雨に晒され続けなければならないという宿命を負っていて、当該部位も其れは避けて通れない事実なのでした。果たしてスチール製の脚部は徐々に錆びが進行し、腐蝕は拡張を止めず、とうとう此の度、土庇柱は土間埋込基部から完全に乖離してしまうという悲しい結果に及んでしまったのでありました。即ち今、目の前に在る其れは、丸太が上からブラリと吊り下がっただけの状態で、柱としての役目を全く果たしておらず、土庇全体は大変危険な状態を保ったまま、辛うじて寂しく佇むしかない姿を晒すのみ、なのでありました。

 従いまして此の部分を直ちに交換修繕させて頂く事となりました。     先ずは角材を用い、支い柱(かいばしら)として土庇の端に収め水平を計測し、これを確り支えます。次に土間敷石を慎重且つ丁寧に外したのち、多少広めに土間を斫り掘削し、既存の柱脚埋込基部を綺麗に撤去します。こうして、いよいよ柱に手を着けさせて頂く訳ですが、歳月を重ねた土庇の様子は相応の歴史の重厚さを漂わせながら、良い具合に侘び寂びの風合いまで醸し出しております。この芸術的風合い?とでも呼ぶべきでしょうか?この絶妙なる全体的均衡を崩さぬ様、磨き丸太は敢えて既存の物を其のまま使用する事と致しました、これこそが日本人としての矜持を保つと申しましょうか、我が国が世界に誇る文化の一環、繊細にして奥行き深い美意識=”センス(感性)”と呼ぶべきものを無視する事は罷り成らぬ..と、古より連綿として受け継がれてきた私めのDNAが余りにも騒ぐものですから、つい其の指令に従いました次第でございます(大袈裟?笑)。但し、新規柱脚の柱受に丸太柱を差し込み直す為に、その形状と太さに合わせて下部だけは少し削って加工します。尚、新規柱脚は腐蝕に強いステンレス製の装飾柱脚金物(柱受)式を採用し防錆耐蝕性と美しさを、とことん追求致しました。そしてモルタルを併用して敷石を元に戻す様に設置し、最後に支い柱を撤去して漸く完成致しました。




以上、如何だったでしょうか? 弊社では此のように水のトラブル以外にも住宅に関する事でしたら、ちょっとした修理修繕から本格的増改築等に至るまで、どのようなニーズにも幅広くお応えし、あらゆる御悩み解消の為に真心こめて御手伝いさせて頂いております、何でも御遠慮なくお申し付け下さいませ。 

さて、今回も御覧になって頂き誠に有難うございました。次回も又、宜しくお願い申し上げます。