今回は築年数40年弱の小規模ビルの下水桝・下水管工事の様子を御紹介致します。
こちらはそもそも『トイレの流れが悪く、度々詰まって困っているので診てほしい』という御依頼からでした。早速お伺いして調査させて頂いたところ、下水経路の要である下水桝が2基、崩壊陥没し下水の流れを阻害しておりました。
基本的に下水管は塩ビ製のパイプですが、このパイプが複数合流する箇所や曲がり角の部分などはメンテナンスの為に蓋を開ければその様子を目視できる仕組みである“下水桝(げすいます)”というものを設けます。
このビルの場合は設立当時の標準的工法に従い、頑丈なコンクリート製の四角柱の枠と蓋、下水の通る底部は用途に応じて都合の良い様な形に造作するため練り上げたコンクリートを個々に左官工事で通り道(インバート)が施されておりました。
つまりそれなりに大変重量の嵩む代物となりますが、経年劣化により塩ビ管とインバートの継ぎ目部分に僅かながらにも隙間が生じ排水が浸透して土砂が軟化し、重いコンクリート桝は沈み込み、隙間は更に拡がる悪循環に陥ります。そのまま使い続けると桝と管は完全に乖離してしまい、やがて地中の土砂もすっかり流し散らされ、最悪は地中空洞化という結果を招きかねません。実際にこちらのケースでも一部地中空洞化が見られました。
さて、対策ですが既存のコンクリート桝を解体撤去、その周辺も掘削し勾配を修正しながら新たな桝と管の交換を行います。新規桝は最近の主流である塩ビ製を採用します、これは軽量で腐蝕耐性に優れ、管と同素材となるので専用接着剤で完全に結合できるといった事がメリットとなるからです。
水の流れの高効率を最大限的に考慮しながら、やや複雑な排水経路を上手くまとめ上げながら繋ぎ合わせて下水工事は終了しました。空洞化部分にはより慎重に砕石土砂を用いて丁寧に埋め固めて塞ぎ、地表面近くまで埋戻します。仕上げは御施主様のご要望からモルタル塗りとなりました。
トイレ排水がすっかり改善され、先々の憂いもぬぐわれた事から、御施主様からは深い感謝のお言葉を頂けました。まさに施工者冥利に尽きます(笑)。こちらも喜びの瞬間であり、全ての苦労が報われる瞬間でもあります。だからこの仕事やめられないんです!(笑)
皆様のお住まいだけでなく、こういったビルの下水工事なども、是非アクア救急センターまでご相談ください。